上級生の一人と思わしき少年が割り込んでいた。しばらくして入江の仲裁の言葉にあっさりと引き下がる上級生二人。
生徒会長か……出る幕もなかった。入り込
美麗華領隊
む余地もない。今日は諦めよう。レイは中庭に背を向ける。
そのとき、中庭の端でそのいざこざの顛末を眺めていた少女の姿を見つける。
あれは、青木れいかか。
レイの視線に気がついたのか、れいかがレイに目礼をすると、背を向けて渡り廊下の向こうに消える。
見ていた?
誰をだ?
中庭のいざこざをずっと見ていたのだろうか?
何の目的で?
クラス委員だからか?
介入する必要がなくなったから立ち
美麗華導遊
去ったのか?
初めてレイは青木れいかの存在を強く意識する。レイの観察対象である三人を青木は何の目的で見ていたのだろう。
面倒見のいいクラス委員であるというだけだろうか?
疑念のままレイは青木れいかを注意人物としてリストに加えていた。
そして放課後──グラウンドではサッカー部が試合をしている。
それを見学するのはみゆきたちだった。昼の一件でみゆきがサッカーに興味を示し、部活も決めていないこともあって見物がてらにレイもその輪に加わっていた。
見学する生徒はみゆきたちだけではない。かなり多くの女生徒が集まっている。その目的の大半がサッカー部のエース緑川なおであることは明白だ。
女子サッカー部というのはそれほどあるわけでもないらしいが、七色ヶ丘の女子サッカー部はそこそこ強いと有名なようだ。
男子との練習試合が多くそれに揉まれるうちに強豪チームとして強くなったらしい。女子サッカーをしている学校はそれほど多いわけでもないことも関係するのだろ
美麗華領隊
う。
レイはあかねとやよいの解説付きでそれを聴いていた。
なおを応援する女生徒の黄色い声がこだまする。ドリブルしてかわしまた一人を抜く。なおが華麗にパスを送ってマークをそらす。
「うわぁっ、早い!」