やがてリビングではミクがお土産で持って
鋁窗きた泡盛を開けようと言うことになり、さらにまったりとした空気の中でそんなオトナ系4人の会話が継続されることとなる。
そうだ、前に『赤い砂漠』のマスターが言ってたんだけどさあ???、『エレファントマン』で盲目の少女が出て来て、その娘が『エレファントマン』に恋するみたいなこと。
それで俺、DVD買って久しぶりに見たんだけどね、そのエレファントマン。
そんなシーンなかったんだよなあ」
と、そんなホンジョウの言いたいポイントが見えないなあ?とマキが首を傾げていると、
それを言ったら、俺どうしてもあるシーンがどの映画の1シーンだったか思い出せないのがあってさあ。
あれは確かほろほろ鳥だったと思うんだけど???、シェフがそいつにオリーブの実をひとつ丸呑みさせてすぐにソイツを殺しちまってさあ、それでそのほろほろ鳥の体にありとあらゆる野菜や香辛料やらを詰め込んで何日も弱火でじっくりと煮込むんだよ。
ソースなんかも染み込ませながらね。
それで、やっと何日かぶりで出来上がったそのほろほろ鳥をまな板かなんかの上で包丁で切ってさあ。
それでその内蔵の奥のオリーブ
沽空比率1粒を取り出すんだよ。
そんでもって料理のお皿にはそのオリーブが1粒だけ乗せられてきて、その1粒をそこの主人がナイフとフォークでじっくり味わって食べるって言うね。
まあ、それだけのエピソードなんだけど。
それが思い出せないんだな、なんの映画の1シーンだったのか。
たぶんフランス映画だったような気がするんだけど、料理を題材にした」
そう延々とナカバヤシが語って聞かせる。
で?」
とホンジョウ。
ああそうそう、俺それでさあ???、てっきりその映画、『コックと泥棒、その妻と愛人』って言うピーター?グリーナウエー監督のヤツ?それの1シーンだとばっかり思ってて、この前見返したんだけど。
全然なかったんだよなあ、そんなシーン何処にも」
とナカバヤシは続ける。
あるよね、確かにそう言うの」
とハマグチもその話にうなずいていたが、マキだけはどうもそう言ったどうでもいいオタク話には退屈しているようだった。
しばらくしてガタンと扉の開く音がし、トオルが玄関に顔を出すとそこにはなんとホンジョウと彼に肩を抱かれたミユキが立っていた。
ああ、トオルくん。
彼女???、君の友だちだって?」
えっ?
え、ええまあ」
と状況がわからないトオルは3秒ほどただボーッと立ちつくす。